大掛かりなお墓修理のご依頼があるケース
昭和時代にお墓を購入した方の外柵(お墓の囲い)に使用されている石材の多くは大谷石です。大谷石は柔らかい石材なので風化によりポロポロと欠けて崩れてくる様な「経年劣化が早い」素材です。
現代では大谷石よりも硬くて頑丈なみかげ石(通称)が主に使用されていますが、当時は加工技術、流通面で高価なものだった為、お墓の外柵には大谷石が使用されました。
お墓は長く使用する大切なものですので建立時には適した強度で施工されていますが、住宅と同じで何もしなければ自然と痛むものです。特にお墓の傾きや石材のズレが発生すると周辺の墓地や歩行者に被害が出る可能性もあり大変危険です。このような症状の原因は石材の破損や墓石を支える基礎の傾きや沈下です。
大谷石製の外柵の耐用年数は環境により異なりますが、概して35年ほどです。耐用年数が経過してもすぐに壊れるとは限りませんが、接触したり地震などで振動や圧力が加わった場合に倒壊するかもしれません。
最近では優れた接着剤なども登場してますが、大谷石は表面がもろく接着剤が効かないので”みかげ石の外柵に建て替える”以外ありません。
お墓の全体修理の流れ
1. 専門家への相談
お墓のリフォームは素人がDIYでやるのはなかなか難しいので、何はともあれ専門家への相談がスタートになります。お墓の専門家を判断する為には資格の有無をチェックしましょう。お墓関係の資格としては厚生労働大臣が認可する”石材施工技能士”や日本石材産業協会が認定する”お墓ディレクター”などがあります。広告の値段だけで判断してしまうと思わぬ落とし穴がありかもしれません。
2. 問い合わせ
良いと思った石材業者の専門家に数社電話してみるとよいでしょう。会社の姿勢は電話の対応などでも把握することができます。面倒でも1社だけでなく数社に問合せすると比較検討しやすいでしょう。専門的な言葉ではなく、素人でも分かり易い説明をしてくれると安心です。
3. 現地調査
適切で正確な見積もりを得る為には、専門家による現地調査が欠かせません。現在の外柵の状況や基礎の確認はもちろん、墓地へのアプローチ、区画への搬入など見積もりに大きく関係することがいっぱいです。その墓地に規定された工事規格、規定などもありますので熟知したプロに依頼しましょう。
4. 提案と契約
現地調査完了後に提出された見積りをよくチェックしましょう。”工事一式”や”白御影”など仕様が詳細に記載されていない見積書では後々想像とちがったお墓ができてしまうので注意!。すべてにおいて納得できたら契約しましょう。契約後に追加費用が発生しないかどうかも確認すると安心でしょう。
5. 修理工事開始
石碑の建て替えをする場合は「閉眼供養」という儀式を行うのが一般的です。寺院(霊園)や僧侶との調整も必要となります。公営霊園などは事前に管理者への工事申請や図面の提出などもあります。
6. 完成および立ち会い
施工が完了したら現地で引渡し、説明を受けます。工事経過の写真や保証書があると安心です。
閉眼供養をしている場合は、お墓のリフォームが完了したら一度抜いた魂やご遺骨を入れる儀式「開眼供養」が必要です。
全面修理施工事例
case 1
こちらの墓所は、沈み込みもなく丁寧に施工された大谷石製の外柵と白御影石の墓石。墓所の継承などの理由から墓石を建替えるとのこと。これを機にご予算の範囲であれば外柵もリフォームも行いたいとのことでした。
BEFORE
AFTER
case 2
傾き老朽化した外柵と石碑をリフォームすることになりました。しかし、お施主様の想いにより歴史ある石碑はこのまま使用することとなり外柵のみのリフォームです。
BEFORE
AFTER
全体的に既存の墓所を踏襲したデザインにしました。お参りがしやすいようにお花立やお線香をあげる香炉はいままでの地面ではなく、墓石に近い位置にいたしました。塔婆立も御影石製になり塔婆が風であおられても心配ありません。将来墓誌を設置できるように、外柵の右側に墓誌を差し込める刻みを加工してあります。
case 3
かなり大きな面積の墓地に大型の墓石が設置された歴史ある墓所。法事を控えリフォームをご希望とのことでした。墓石2基は大変歴史があるものでお施主様のご要望で外柵のみのリフォームとなりました。墓石は一度撤去してしっかりとしたコンクリートで基礎を打ち、ブロックの外柵を御影石に替えます。
BEFORE
AFTER
こちらの墓地は周囲の墓所がさまざまな面積と高さなので、綿密な設計が必要でした。周囲になじむようなデザインと高さを考慮してこのデザインになりました。一度撤去した墓石も再据付時に耐震ボンドを施工することで以前よりも格段に耐震性が増したお墓になりました。
case 4
生前に墓地のみを準備して、そのときに大谷石の外柵を建てたとのこと。この度の法事に合わせて、墓石を新規に建立されるのを機に外柵とカロートをリフォームされました。
BEFORE
AFTER
周囲の墓所の形状、高さを考慮したデザインをご提案しました。ご予算を第一に考えると、石材を節約して外柵の高さも低くすることになるのですが、一度建てたら早々に建替えることの無いのがお墓です。高さも周囲と引けを足らず立派な墓所になりました。
墓所の面積も大きいので、ご予算のこともあり、石材の使用量を抑えたデザインとなりました。こちらの墓所は入口の参道が狭かったので、墓所の入口は圧迫感のある階段ではなく、最小限の高さにしたフロア型外柵をおすすめしました。墓所もさらに広くみえ、お客様もご満足いただけました。墓所入口には手荷物を置ける、物置石を設置しました。